TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

下灘駅に電車は止まりません。なんでか止まらんか明日まで考えといてください<四国カブツーリング2日目>

<前> tannymotors.hatenadiary.com 四国カルストの上で朝5時に目覚める。標高が1400メートルあるだけあって寒い。そしてテントは盛大に夜露で濡れている。こういうときにダブルウォールのテントにして本当に良かったと思う。朝食やら荷造りはさっさと済ま…

Uber Eatsはどうしてダサくなった?

残念ながらもうウーバーのアプリは消してしまったし、配達員を見かけても「邪魔だなあ」やら「危ないなあ」やらネガティブなイメージしか湧いてこない。

四国カルストと四国山地があんなに楽しいところなんて誰も教えてくれなかった<四国カブツーリング1日目>

四国カルストの道は山腹ではなく山脈を走っている。それに牛がいる。あとゴツゴツした石が飛び出ている。実に奇妙な景色だ。バイクに「赤べこ」とか名付けたのに目の前に本物の「ベコ」がいるのはなんとなく恥ずかしい。

旅は移動中こそが楽しい。だからバイク旅は全部が楽しい。<四国カブツーリング0日目>

1週間の休暇を得たが、特に何もすべきことはなかった。こういう時はバイクでぼんやりと走るに限る。目的地はどうするか。九州には去年から行きたいと思って地図も買っていたけれど、梅雨入りもしていたし雨も降りだしていたので、今回はその手前にある四国…

平野啓一郎『マチネの終わりに』こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった

「こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった」というの名もないオタクの言葉である。この物語に登場する人物たちのような人生を歩むようなら、僕も途中で花や草に生まれたかったと思うだろうよ。 この物語ではピアニストとジャーナリスト2人の人生が描…

『∀ガンダム』主人公が股間をちょきんぎょで隠す快作 キャンサーとムロンに咽び泣け

∀ガンダムが腰を抜かすほど面白い。黒歴史という言葉を生んだ作品であり、これ自身が黒歴史と言われることもあるらしいが、ガンダムシリーズであることやロボットアニメであることを差し引いても余りあるくらいに面白い。全50話のうち、30話まで一気に見…

療養には「バニラアイス」と「コーラ」と「ポカリ」。特効薬と読み替えても構わない。

脂汗を流すほどの頭痛と喉の痛みと発熱、風邪である。季節の変わり目で風邪をひく体質なのでいつものことではあるけれど、こと5月においては寒暖の差が激しすぎて史上最悪の風邪となった。 風邪の症状自体は2日程度で治まったものの、万が一コロナ的なアレ…

『十三機兵防衛圏』腰抜かすくらいの完成度と物語の立体感。ゲームにしかできないクリエイティブの最高峰。

『十三機兵防衛圏』がとんでもなく面白いという噂をTwitterで聞いて数ヶ月。たぬきに負債を負わされるゲームばかりやるのも気に入らないので、ついにプレイしてみることにした。 ジャンルはアドベンチャーゲームらしくネタバレはなんとしても回避したかった…

手書きの文字には心が籠もってるとか言うお前のためにペンを握ってるわけじゃねえんだよ

高校生の頃から10年以上手書きの日記をつけている。不定期かつ不定量なので1日数ページ書くこともあれば、1年以上放置していたこともある。しかも気まぐれに破り捨てたり焚書したりするので、いつも手元には現行の日記1冊しかない。 ブログも書くのにし…

『わたしはカモメ』ポチャッコは共産主義者かもしれないぞ

彼女が四六時中ポチャッコの夢旅行を歌いまくるおかげで、サンリオにはポチャッコというキャラクターがいること、そしてサンリオピューロランドなる施設があることを知った。 サンリオは「キレてるキャラクターを生み出す変態企業」というイメージがあったけ…

点検、増し締め、赤べこ号

スーパーカブを買って1年目の定期点検にやってきた。予定から3ヶ月も点検をすっぽかしてしまったが、それでも一切問題ないのはさすがスーパーカブだ。 待っている間に店の外に並ぶバイクたちに目をやると、今まで見たことのない色のカブが停めてあった。色…

アンナ・カヴァン『氷』/世界は静かに死にゆく、あるいは既に死んでいる

異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙する。 アンナ・カヴァンの「氷」…

連休と飛び休のあいだ

社会人になって初めて土曜と日曜が休日になった。 普段はシフト勤務なので必要がなければ土日に休むことはなかったし、何なら平日休みのほうが過ごしやすくて好きだ。 今週が土日休みだと気づいたのは金曜の夕方だった。シフト勤の弊害として曜日感覚がなく…

『前田建設ファンタジー営業部』こんなの誰が観るの?って言いながら自分が観るタイプのやつ

ブンシャカ上地雄輔が出るような映画をわざわざ映画館で観るなんて、普段なら絶対にありえないことだ。

ヨーロッパ企画イエティ『スーパードンキーヤングDX』全方向を馬鹿にするくらし、うつわ、ドゥンッキ!

かつてサブカルは独立したカルチャーだった。メインカルチャーと対をなす存在がサブカルチャーであり、その集合体がサブカルであり、つまり「ビレバン」であった。

将来の夢を叶えるのはだいたい可能

正月に実家で中学の卒業アルバムを見つけた。日本の卒業アルバムのネタといえば将来の夢であるが、確か「建築家」やら「整備士」やらそんな仕事を夢として書いたような気がする。職業として建築や整備の道に進んではいないものの、自分で設計した家は建てて…

京都タワーが、京都が、嫌い

自宅の窓からは京都タワーが見える。京都駅に降りるたびに目に入る京都タワーにいつもうんざりしていたが、これが自宅からも見えるのだから堪ったものではない。僕は京都タワーが嫌いだ。 正確には嫌いなものの象徴としての京都タワーが嫌いだ。京都という都…

親に風呂の長さを心配された年越し

年末年始は実家に帰ることにしている。地元の友人に会うわけでも初詣に出かけるわけでもないが、新年を迎えるときくらいは家族と一緒にいたほうがいいだろうとなんとなく思っている。だから新年も実家で迎えることになった。 実家に戻った日の夜、風呂が沸い…

10年代の総括。『生きたいたいか!?ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ!』

2010年に20歳になって、29歳になった2019年がそろそろ終わる。せっかくなので10年経って何が変わったように思えたか残しておくことにする。未来の誰かの何かの資料にでもなればラッキーだ。 ミスったら死ぬとみんな思ってる ゆとり大学生の就…

序メガネ、破メガネ、Qメガネ

ここ数年、仕事用メガネと私用メガネを使い分けて過ごしている。二足のわらじならぬ二本のメガネ生活である。レンズが四角いものを仕事用、丸いもの私用にして、いつもどちらかのメガネがデスクのスピーカーの上に置いている。普段は仕事に出る前に四角いメ…

23年ぶりのポケモン、ニャースが怖い

僕が小学1年生だった1996年の春。ゲームボーイの電源を入れると「ピコーン…ザッザッザッ…」とノイズに似たSEと共にモノクロドット絵のリザードンが小さな画面に表れた。1996年は初代ポケモンが発売された年であり、僕が他の子どもたちと同じくポケモ…

カメムシは燃やせ、でもクモは益虫だから許す

我が家を10階に構えているのは、何よりも虫を部屋に入れないためだった。それなのにどうしてこの時期にカメムシが家に入り込んでいるのか。壁にぶつかり続けると天文学的確率で壁をすり抜けられるという物理の話を聞いたことがあるが、それが実際に起ったと…

京都が外国人観光客でパンクしそうなおかげで住まいを失いつつある話

大阪に住んでいた頃、なんばの道頓堀が外国人観光客だらけで、まわりから日本語が聞こえなくても「ここは観光地やもんな」としか思わなかった。彼らは観光バスでやってきて、ドラッグストアで爆買して、時間が来ればどこかのホテルに帰っていく。あのときの…

ヨーロッパ企画の大歳くんにチーズの札を差し入れたい、そして男肉の団長にはVaporwaveを

ヨーロッパ企画イエティの新しい公演の情報がついに公開されていた。作・演出の大歳くんを二郎系のラーメン屋で見かけるたびに「そろそろ新作作ってくれねえかなあ、あと西垣がデイリーポータルのメンバーになってるのなんで?」と思っていたが、ついに新作…

うるおいを取り戻したシャチのような

今の仕事で使っているスタンプ台は前任者から引き出しの中身ごと引き継いだもので、それを使ってゴム印を押すとおよそFくらいの濃さで印字ができる。今まではそれが普通だと思っていたし、ゴム印を押す仕事なんてつまらない作業だからそれまでスタンプ台に興…

僕らが狂っていた11月の日々には今でも解けない謎が残されている

11月になると決まって大学祭のことを思い出す。開催日とその前後にかけて大学に泊まり込んで馬鹿みたいな裏方仕事に勤しんでいた。懐かしくはあるが「終わってみればいい思い出だねー」と美化する気にはならない。あの日々はただの狂気であったし、オーバ…

自炊すいすい

ここ1年ほど自炊と言うものを一切していなかった。そのせいか炊飯器は戸棚の奥に片付けられ、電子レンジは電源を抜かれ、我が家の台所は沈黙を続けていた。 主な原因は「無気力」だったがさすがに「食生活」だの「食費」だの気になるワードが増えてきたので…

井之頭五郎を見習え

ジャンクフードを食べていると「こんなものばかり食べてたら死んでしまうぞ」という罪悪感と、分かっていながら食べてしまう背徳感がせめぎ合って、結局落ち着いた食事にならない。 疲れ果てた状態なら「染みる」とか言いながら黙々とハンバーガーを口に詰め…

よみ、かき、どれみ

本屋に行くたびに買おうか迷っていた本があったのだが、人に貸してもらえたので早速読み進めている。歴史書かと思ったら小説だったので思ったよりすいすい読めて、1日で半分ほど読み終えてしまった。ものを読むのにちょうどよい具合なんてものはない。積読…

土曜の診察は先着順。それは季節によらず平等。

建物の間を吹き抜ける風が冷たくなり、陽の足もいつの間にか早くなっていることに気がついたとき、すでに僕らは秋の真っ只中にいる。 10月から11月にかけてが一番好きな季節なのに、最も早く過ぎていくのもこの季節だ。秋はいつの時代でもある種の中休み…