TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

2016-01-01から1年間の記事一覧

台所に立つとクラフト

腹が減ったと台所に立ったものの、冷蔵庫には漬物とヨーグルトしかなく、冷凍庫には冷凍ご飯とウォッカしかない。レトルト食品はカレーとハヤシライスが20個近くあるが流石に食べ飽きた。食に無頓着なくせにこういうタイミングで決まって「普段食べてない…

積読は罪と毒の言葉遊び

本の値段をあまり気にせずに買えるようになったのは、大人になって良かったと思うことの一つで、読む時間こそあまりないのに、だからこそ一冊の本が楽しくてしょうがない。 結構前からコンビニの商品は値段を見ずに買えるようになっていたけど、酒に寄った状…

映画『この世界の片隅に』削られて魅せる魂、輝く命

『この世界の片隅に』をついに観た。京都に住んでいるのに出張先の香川で観た。今観なければ一生観ないかも知れない気がしたからだ。そして観終えた今、もう一度観たいとも、もう二度と観たくないとも思っている。 この予告編を観ると、己の感想が製作者の意…

映画『博士の異常な愛情』世界最高のダイジョーブ博士が人類を救う

よし核戦争だ!共産主義者は皆殺しだ!おい待てバカ野郎! あらすじ 頭のイカれたアメリカ空軍の司令官がソ連への核攻撃を命令。しかも命令の取り消しにはその司令官の設定した暗号コードが必要で、司令官は基地で籠城中。頭を抱えるアメリカの首脳陣。会議…

映画『十二人の怒れる男』大人は正しい判断ができる人か、間違いを認められる人か

GUILTYT OR NOT GUILTY 12人の陪審員が父親の殺人容疑で起訴されたその息子について話し合う。最初はみんな「どうせ有罪だろ」という雰囲気で多数決を取ろうとする。しかし有罪に挙げたのは11人。無罪に投票した1人の男は「話し合いたい」と言い、一つ…

夜遊びを覚えて、本当に猫は夜に会議をしていると知った。

夜遊びを覚えて、本当に猫は夜に会議をしていると知った。 三条通商店街の真ん中にある公園には、深夜10匹ほどの猫が集まる。何度かその光景を目にして気づいたのだが、どうやら猫にも上下関係があるようで、大人の猫はベンチに座っているが、子猫が登ろう…

村上春樹は焼きそばに例えることができる

僕は村上春樹について書くときに、焼きそば−中華麺と具材をウスターソース(または塩)で炒めた麺料理−こそが、村上春樹作品に対する最適な比喩だと思っている。焼きそばが食べ物であることは、誰もが知っていることだし、もし初めて焼きそばを見る人がいた…

新幹線のテーブルがちょっと遠い

新幹線でパソコンを触っているとすぐに疲れてしまう。新幹線のテーブルは普段のデスクと違って低いし遠い。肘掛けがあるのは良いことだけれど、でも結局膝の上にパソコンを置いて作業することになるのでどのみち意味は無い。 18きっぷで在来線に乗るしかな…

映画『グッバイ、レーニン!』赤旗よ!永遠なれ!ごめんやっぱ無理!

やべっ、資本主義だ。隠せ隠せ。 この映画は「東ドイツと共産主義は無くなったけど、母さんの周りだけでも共産主義のままにしてあげよう!」という物語だ。熱心な共産主義者の母が、気を失っている間に共産主義が東ドイツごとなくなっていることに気づいたら…

アガペーとしてのビジネスホテルとリクルートカードとじゃらん

ビジネスホテルは非日常の最高峰だ。広いベッド、綺麗なシーツ、華美ではないが必要十分なアメニティ、その土地の知らない飲み屋、ホテルの朝食バイキング。サラリーマンとしてビジネスホテルを使うときは、仕事の延長でありながら与えられる至れり尽くせり…

映画『昭和歌謡大全集』ババアとオタクの殺し合いは最高のエンタメ

ババアとオタクが殺しあう。思い出の曲を口ずさみながら。 ババアとオタクの最高の地獄絵図 昭和歌謡大全集は村上龍原作の小説だ。1994年発刊。映像化は2002年。小説を10年前に読んだ時は、「村上龍はサクサク人を殺すなあ」と思っていた。いつの…

気圧が低いと意志が弱る

低気圧だと頭が痛くなる。雨は好きだけど気圧の低下は嫌いだから、生来の天邪鬼は体調にまで影響するようになってしまったのかと心底うんざりする。 新海誠の作品には雨のシーンがよく登場する。雨が窓ガラスを伝って流れ落ちていく様子はとても綺麗だ。それ…

映画『アウト・オブ・サイト』かっこいいなあ、ジョージ・クルーニー

ある日飲み屋でジッポーをカウンターの上に置いていると、「ジッポーやないか!かっこええなあ!」と言いながら僕のジッポーで奇妙な火のつけ方をして遊び始めた人が、「こうやってジッポーをつけるジョージ・クルーニーがかっこいい映画があるんよ!」と言…

寝る前にコーヒーを飲むと緊張してしまう

コーヒーを飲む文化がないので、我が家にはインスタントコーヒーはおろかマグカップすらない。自販機ではコーラ選ぶし、喫茶店ではホットココアを注文する。紅茶は飲み物の選択肢がない場合にやむを得ず飲む。 先週、酒を飲んだ帰りのコンビニで翌日の朝食や…

映画『君の名は。』 新海誠がアニメを作った!

「君の名は。」を観た。これまで新海誠作品には「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」で何度も心を抉られていた。ところが今回は物語の方向性が大きく変わっていた。「君の名は。」よりアニメ的になった。アニメ的ハッピーエンドに終わる作品なんて久しぶ…

引きこもる準備はできている

ツタヤの宅配レンタルに登録したので、映画が借り放題になった。観たい映画をリストに入れておくと、リストの上の方から順番に映画が2本自宅に届き、それを返すとまた2本送られてくる。月々定額だし貧乏性だから、映画が届くと一度に2本とも観ようと思っ…

ヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」この傑作は二度でも三度でも見てけつかるべきだ

ヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」のプレビュー公演を今年も栗東で見てきた。いつも座席は後方から見下ろす形で観劇していたけど、今回は珍しく最前列の真ん中。舞台を見上げながら芝居を見るなんて初めての経験だった。公演が終わったら首が痛くな…

休暇に関する24通りの読み方

以下の文章は4つの段落に分かれていますが、どの順番で読んでも正解です。24通りの読み方をお楽しみください。 バネはかかる負荷への反発力で跳ね上がる。労働が負荷で、休暇が反発力であれば、日々の労働がいかに過酷であろうと、その分休暇は素晴らしい…

オタク高校生のフリーメイソンこと図書委員会

高校3年生になるまで学校の図書室というものを使ったことがなかった。高校生だったころの放課後は、さっさと家に帰るか、時折写真部の暗室に篭って酢酸の匂いの中でモノクロフィルムを現像するしかやることがなかった。 しかし高校3年生になれば大学受験が…

暮らしが根ざしていくまえに

3年前、京都に引っ越してきた時は、「この街には僕を知る人は誰も居ないのだ」という事実が心をくすぐった。旅先で曲がり角の先を空想しながら街を歩く楽しさが毎日のように続いていた。知らない場所、知らない店、知らない人、知らない味。好奇心と体力に…

引っ越しは軍手より作業用ゴム手袋のほうが捗るぞ

今年で3回目の引っ越しをした。正月に引いたおみくじを見たら、「転居は暫く待ったほうが良い」と書かれていた。やっちゃったものはしょうがないけど、暫くってどれぐらいのことを言うんだろう。年に3回も引っ越したら暫くもなにもないだろうけど。 新しい…

福知山くん、ギャルゲーの舞台になりなよ

京都府北部に位置する福知山市。京都からも大阪からも車で約2時間弱。福知山線脱線事故やら、福知山花火大会爆発事故やら、毎年のように発生する水害やら、何かと憂き目に遭う福知山で僕は幼少期を過ごしていた。福知山を離れてからも、仕事で何度も福知山…

公演『LAきょうとピラミッド/男肉 du Soleil』 愛と勇気の実験的空間

男肉 du Soleil大長編「LAきょうとピラミッド」の京都公演が終わった。初日前日に男肉を賛美する記事を書いたら団長やメンバーや制作の人々に拡散されてえらいことになった。このブログはSEOの実験場やら言えないアレコレやら多目的な場所だったから、人に読…

映画『ナイトクローラー』向上心、探究心、経験、野心、その果てにいる成功者

つい先ほど、映画「ナイトクローラー」のDVDが送られてきた。今日が5月23日だからだ。送り主の映画評論家からは「増長しませんように」というメッセージが添えられていたので、これはその返事である。 あらすじ 都会で擦り切れた生活を送る主人公ルイスは…