夜遊びを覚えて、本当に猫は夜に会議をしていると知った。
三条通商店街の真ん中にある公園には、深夜１０匹ほどの猫が集まる。何度かその光景を目にして気づいたのだが、どうやら猫にも上下関係があるようで、大人の猫はベンチに座っているが、子猫が登ろうとすると威嚇して追い払ってしまう。やはり猫は意地が悪い。彼らは何かを話すでもなくただその場に集まっているが、密集するわけでもなくなんとなく同じ場所にいるだけのようだ。深夜のコンビニに集まるヤンキーほどの連帯感は彼らにはなさそうだ。
ある日その集団の中に黒い子猫がいるのを見つけた。ベンチに座っているこちらをじっと見ていたので、何か気を引くもでもないかと鞄を探ると、引っ越しに使った黒い軍手が出てきた。丸めて投げてやると、おっかなびっくりしながらも前足で叩いたり噛んで引っ張ったりして遊びはじめたので、どうやら気に入ってくれたようだった。夜に黒猫が黒い軍手で遊んでいる様子は、近くから見ても何が何やらわからない。黒い何かがバタバタしているようにしか見えないので、可愛げはあまりなかった。
軍手はそのまま放置するわけにもいかないので、返してもらおうと近寄ると黒猫はさっと茂みの中に逃げてしまった。さすが黒猫、どこにいるか全くわからない。しかも子猫といえどネコ科の端くれ、軍手はボロボロになってしまった。
京都市内は猫が多い、狐も狸も人間に化けて暮らしていると言うし、アレルギーがある人にはさぞ住みづらい街だろう。
