TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

『わたしはカモメ』ポチャッコは共産主義者かもしれないぞ

彼女が四六時中ポチャッコの夢旅行を歌いまくるおかげで、サンリオにはポチャッコというキャラクターがいること、そしてサンリオピューロランドなる施設があることを知った。

サンリオは「キレてるキャラクターを生み出す変態企業」というイメージがあったけど、ショーの動画を見るとそのイメージが一気に確信に変わった。耕した畑をコインパーキングにするくらいガチガチにだ。

作中では謎のキャラクター(このショーにしかいないらしい)がみんなに「想像して夢旅行に行こう!」とそそのかし(薬でもキメてんのかな)、ポチャッコも例に漏れず「宇宙飛行士になる」という夢を歌う。

犬が宇宙に行くといえば、ソ連のロケットで宇宙に送られたライカがまず思い浮かぶが、それ以上に直接的な表現として歌の中に「わたしは、カモメ」という歌詞が登場する(動画1:00〜)。初めて聞いたときは反射的に「お前は犬だろうが」と返してしまった。重力から開放されて脳みそがふわふわになったか、もしくはトリップしすぎたせいだと思っていた。しかしなぜ「カモメ」なのか。彼女が「わたしは、カ〜モメ!」と歌うたびに「犬だよ!」とツッコむたびに、疑問は少しずつ大きくなっていく。犬なのになぜカモメを名乗るのか。

このセリフの元を辿ると、1つの戯曲にたどり着く。チェーホフの「かもめ」でヒロインは「わたしはカモメ」と語っているのだ。そして世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワはカモメのコールサインを与えられ、宇宙から世界に「ヤー・チャイカ(私はかもめ)」と送っている。

なるほど、ポチャッコの宇宙へのあこがれは、ソ連の宇宙開拓を見て育まれたものなのか。だから「わたしはカモメ」という歌詞まで出てきたと。

しかし日本では博物館などを見てもNASAJAXAといった西側の宇宙開発の様子を見聞きする機会の方が多いのに、どうしてソ連側のエピソードを元にポチャッコは『夢旅行』に出発したのか。

この曲の別の部分には「地球は”やっぱり”青かった」とある。このセリフといえば世界初の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンの「地球は青かった」であり、彼もまたソ連の宇宙飛行士だ。

ここまでソ連の話を出してくれば容易に想像できることだが、ポチャッコはソ連圏の出身なのではないだろうか。ソ連圏であればソ連の宇宙開発の話が聞こえるのは当然であるし、他の宇宙開発後進国のエピソードなんて入ってこない。それなら「ソ連の」宇宙飛行士になりたいという夢を持つのも自然なことだ。

ポチャッコの生まれがソ連であり、宇宙飛行士を夢見るならば共産党活動などにも熱心であったことだろう(当時の宇宙飛行士は”軍人”だからね)。そして言うまでもないがポチャッコは共産主義者に決まってる。この赤い服もソ連国旗の赤がモチーフに違いない。

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まさかポチャッコがソ連共産主義者だったなんてね…資本主義の犬、とはよく聞く言葉だけれど、共産主義の犬がまさかキャラクターになってるとは誰が思うまい。

今年のサンリオキャラクター大賞、もしかすると、するね。