TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

鳥貴族のカウンターにはコンセントが付いてるから実質ドトールと同じ

近所の鳥貴族によく一人で行っている。黙食がどうこう言われるよりも以前から、一人で酒を飲みたいときに行く店はもっぱら鳥貴族である。個人店に行くとついつい店の人や他のお客さんと喋ってしまうし、黙っていてもお互い意識してしまうので一人で飲むにはチェーン店がちょうどいい。喋ったことないのに意識しちゃって記憶に残ってる同級生っているよね。中学高校の記憶なんてないけど。

ただ僕が行く鳥貴族の焼き鳥は基本的に全部焦げている。飲み友達がそこに行ったときにはソーセージさえ焦げていたらしい。大学生のバーベキューでも焦がさないような食材をどうやったら焦がすまで焼けるのだろう。そういう訳でその鳥貴族で飲む場合は基本的に焼き以外の串物かサイドメニューしか頼まないことにしている。

昨日、ほんの気の迷いからぼんじりとねぎま(店では貴族焼と呼ぶ、革命か?)を頼んでしまった。酒による判断力の低下と、土日なら焼き場も慣れたスタッフが入っているかもしれないという淡い期待がそうさせてしまったのだろう。

ぼんじりは揚げてるから大きな問題はなかった。しかしねぎまの方はやはりカッスカスに焦げていた。出されたものは残さず食べる主義なので一応食べてみたが、すぐに「全部食べたら具合悪くなるぞ」と直感が知らせてきた。そして自分の浅はかさと胃もたれに辟易としながら「貴族様ごめんなさい」と念じて串を置いた。やはり庶民は貴族に勝てやしないんだ。

しばらくすると店員さんが空いたグラスと皿を下げに来た。「ここのお皿たちは下げていいですよ」という風に置いた食器たちの中に手つかずの焼き鳥があるのはどう見ても怪しかったようで「こちらどうかしましたか?」と聞かれてしまった。酒でぼんやりしていたせいで「これ...焦げてて…ごめんなさい…」としか返事ができなかった。小学生が給食を残すときの言い訳みたいだった。さすがに泣いたりはしなかったが、なんだか猛烈に心細くなってしまった。一人で飲みに来てるくせに心細くなるんじゃねえ。

さすがに「食うまで帰るな」と叱られるようなことはなかった。むしろすぐに謝られて「作り直しましょうか?」とまで言わせてしまった。年下の店員さんにそんなこと言わせたのが恥ずかしくて、こちらも謝りながら遠慮したが「また焦げたの出すんじゃねえの?」と少しだけ期待してしまった。己の性根の歪みっぷりがこんなところで現れるとは。

帰り際に社員っぽい人からも「焦げてたようで...すみませんでした!」と謝られた。あの定員さんちゃんと上に報告しててえらい。それに悪いのは地雷原に突っ込んでいった自分の方だ。「お店、忙しいですもんね」と訳の分からないフォローをして店を出た。誰も悪くないのに、謝られると悲しいものだ。

「焼き鳥メインで売ってるのにそれが焦げてるってどういうことだ」と思ったのは、その晩ベッドに入ってからだった。ハイボールで炭化した鶏肉はハイボールでも誤魔化しきれんのだぞ。でもきっとまた行くだろう。なんたって鳥貴族にはコンセントとwifiがあるからな。