TANNYMOTORS

人の味を知った熊は再び人里に降りてくる。

全ては旭山動物園のために<北海道カブツーリング3日目>

< 前>

朝6時、日の出と共に目が覚める。キャンプツーリングの生活サイクルは太陽と同期することになる。テントの中が明るくなれば目も覚めるし、日が沈んで暗くなれば眠たくなる。キャンプのためのツーリングだと焚き火だ料理だとアクティビティを詰め込めるが、ツーリングのためのキャンプだと設営して食事を済ませたらさっさと寝てしまう。そのため今回のツーリング道具にはメスティンや焚き火セットが含まれていない。食事はセイコーマートに行けばいいし、焚き火よりも星を見たかったのでこれでも不自由は一切ない。おかげでボックスがスカスカになってしまった。旅慣れると荷物が減るのはバイクでも同じのようである。

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撤収の途中でクーラーバッグで冷やしておいた「カツゲン」と、フェリーで買った「みそぱん」を食べた。なんとなく買って保存食的な見た目をしているみそぱんだが、その実食べてみると甘い香りとわずかな味噌の風味がしっとりした生地に練り込まれていて大変美味しい。カツゲンは北海道限定の飲み物らしく、牛乳要素のあるカルピスといった感じである。どちらも旅に大切なエネルギー源という感じがして頼もしい。

朝食を食べた勢いで撤収も済ませる。キャンプは人がいた痕跡を残さずに去るものだと個人的に思っている。そのほうが次来る人も快適だし、こっちも撤収に気合入る。間違って焚き火跡なんて残した日には「焚き火の跡…乾燥してまだ暖かい…!探せ!まだ遠くには行っていないはずだ!」と追跡者に察知されマ・ドンソク風の兄貴にぶん殴られるに違いない。

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撤収は済んだがもう少しやってみたいことが残っている。バードウォッチングだ。クッチャロ湖にはコハクチョウがやってくる。わざわざ道具に双眼鏡を加えていたのも「野生動物を見てみよう」という思いつきからだった。ちなみにみそぱん1切れではちょっとお腹が寂しかったので前日の夕飯を買ったセコマに戻ってカツ丼を買ってきた。朝8時前に食べるもんじゃないがもうここに時間の概念なんてない。

およそ30羽ぐらいだろうか、一応湖面に水鳥たちはいた。30分ほど双眼鏡を顔に押し当ててその姿を眺めていたが、みんな静かに水面に浮かんでいるだけで特に何も変化はなかった。そして人生初のバードウォッチングはほぼカツ丼を食べるだけで終わってしまった。私にはまだ早すぎる趣味らしい。

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さて出発だ。この時点で8時30分。浜頓別町から内陸部を走って旭山動物園に向かう。バードウォッチングは楽しめないが動物園は好きだ。天気はまあまあ。旭川市まではおよそ200キロ。寄り道しながらでも余裕の距離設定なのは昨日の400キロ爆走で証明済みだ。

北海道の道は相変わらず直線で長い。おかげで色々なものが目に入る。なぜか公園に自衛隊のF-104が展示してあったのでもちろん立ち寄った。1982年に退役した旨が機体にステンシルで書かれている。自衛隊の航空機にはステンシルで色々と書いてあるけれど、「GOOD-BYE」は初めて見た気がする。整備士の心意気みたいなものが伝わって来てなんだか嬉しくなった。大事にされてたんだろうなあ。

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内陸部は当たり前ながら畑が多い。遠くまで続くなだらかな土地に敷き詰められた畑、点在する作業小屋や家屋、本州では見られない景色が北海道にはある。無目的でも来てよかったなと心から思った。

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ところで走行中にバチバチと虫がぶつかって来る。9月上旬といえど秋の虫は既に跳梁跋扈していた。おかげでレッグカバーやらヘルメットやらを定期的に吹き上げなければならなかった。立ち寄るセイコーマート全てにウインドウォッシャーが並んでいたのはなるほど虫対策かと納得がいった。

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道の駅でおやつを食べたり接近する雨雲に怯えたりしながら午後2時に旭山動物園に到着。北海道固有の生き物たちを見るといよいよ知らない土地に来たんだという実感が湧いてくる。あとシカには本当に気をつけないと命の危険がある。あの角に突っ込んだら助かる気がしない。

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ペンギンもオウサマペンギンを見ることができる。今までアデリーペンギンフンボルトペンギンしか見たことがなかったけれど、オウサマを名乗るだけあってなかなかでかい。心なしか態度もデカイように見える。そしてアムールトラは今年三つ子の赤ちゃんが生まれたらしい。アムールトラファンとして見過ごすわけには行かない。結果として3時間の滞在のうち1時間以上アムールトラに費やしていたことになるが、一切の後悔はない。ただただ至福のときであった。そりゃあ日本一の動物園にもなるよなあ。

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 この喧嘩を閉園までずーっと見ていた。かわいいなあ。

 

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