TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

モエレ沼公園と二条城を交換して欲しい<北海道カブツーリング6日目>

 <前>

朝、小樽から舞鶴へのフェリーを予約した。シーズンオフの平日なので往路と同様にチケットは余裕で取れた。出航は夜11時30分。10時頃に到着していれば大丈夫なはず。苫小牧から小樽までは最短で100キロ程度。寄り道しながらゆっくり向かっても時間が余る計算だ。少しは観光らしいこともしたほうが良いと今更ながら思った。

朝食は洞爺湖を眺めながら食べることにした。支笏湖を経由して1時間程度走り、洞爺湖が一望できる展望台登って朝食の支度を始める。例によってカップヌードルカツゲンだけれど、景色が良いからそれだけ満足だ。

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そういえば高校時代の修学旅行先は北海道で、洞爺湖のホテルにも泊まっていたんだった。今思い出してもあの時カップルで修学旅行に行けた奴らが羨ましい妬ましい。このあたりの思春期タトゥーはいくらツーリングしようと優勝し続けようと到底上書きできるものではない。良くない思い出アーカーイブを開きそうになったのでカツゲンを一気飲みして気を紛らわせた。今日も美味いぞカツゲン

次は北上して羊蹄山でも見に行こうとしばらく走っていると、急にモエレ沼公園のことを思い出した。高校生のころからずっと行きたいと願いながら結局行く機会もなく、ずっと自分の「行きたい場所リスト」の1位を占領していたイサム・ノグチモエレ沼公園。10年以上行きたいと思っていたのになぜ今まで忘れていたんだ。北海道に来てから初めて、今まで走った道を振り返って、ルートを札幌方面に変えた。

モエレ沼公園に着いたのはお昼ごろ。まずはピラミッドの形をしたモエレ山に登り、公園全体を眺めながらそこでお弁当を食べた。タウシュベツでは自然の景観に圧倒されたが、モエレ沼公園ではイサム・ノグチが遺した作品の大きさに圧倒された。なんだってデカいのはいいことだ。

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山の頂上からは人が点にしか見えない。それくらい大きな公園がある札幌が心底羨ましい。京都は梅小路くらいしか大きな公園がないから、二条城あたりと交換して欲しい。子供じみた駄々をこねてたら冷たい風が吹いてきたので、次は目の前にあるガラスのピラミッドに向かう。ここの入館料はなんと無料だという。二条城が大人600円だと考えると...しかしあれは観光地だから...何も言うまい。

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 ピラミッドの中は広い吹き抜けや彫刻が展示してある。1階にはレストランも入っていて本格的なフレンチからおやつまで食べられるようになっている。部活で寄り道しているらしい高校生に混じってソフトクリームを食べながらこの建物や空間を堪能した。公園は日常の延長線にあるものだと思っていたけれど、ここまで作り込めば非日常みたいに思える。昼食を食べた山は芝が生えていたけれど、そもそもピラミッドの形をした山だって非日常だ。

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来た時は動画撮影をしている学生風の女の子たちがいたけれど、夕方になると人もいなくなってきたのでタイミングを見計らって最後の自撮りをしておいた。ダサいアー写みたいな写真が撮れたので大いに満足した。何やってるのか分からないところが気に入っている。

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日が沈むまで公園に入り浸って、そこからのんびり小樽へ向かう。フェリーが出るまでそこそこ時間があったので、小樽運河を眺めたり倉庫を背景にカブの写真を撮ったりしながら遊んでいた。坂道を登ってみたりもしたけれど夜なのでそこからは何も見えなかった。いつか明るい時間の小樽も訪れてみたい。こうやってリベンジ案件が増えていくんだろう。

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夕飯はなぜか山岡家になった。チェーン店ということは知っていたけれど関西じゃ見たこともないし、そのくせ北海道ではあちこちにあったのでついつい入ってしまった。なんというか家系にシフトした天下一品みたいなラーメンだった。疲れた体にはありがたい塩分濃度だ。帰ってから関西圏のお店を調べると明石店がヒットしたけれど、正直明石は行きづらい。これからも東に出かけたときに寄ることにしよう。

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10時頃フェリー乗り場に着くと50台以上のバイクが並んでいた。舞鶴から乗った時の3倍位並んでいるだろうか、よくもまあこんなに集まるものだ。大きなバイクを見ていると羨ましくもなるが、しかし箱が似合うのはうちのカブがダントツだ。最近はスポーツ系のバイクを見ても「どうやって箱載せるんだ?」「キャンプ道具は積めるのか?」という目線で見てしまう。こうやって偏見が生まれていくんだな。

明らかに疲れているようなので荷締め具合を確認してさっさとロビーで休むことにした。おっさんライダー達がベンチで溶けながらコナンを見ている。誰もきちんと見ていないだろうからきっと真相は迷宮入りだろう。

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フェリーに乗船して荷物を下ろすと、気が抜けて一気に眠たくなってきた。感慨に浸る暇もなく、北海道に別れを告げることもせず、張ったばかりのシーツに倒れてそのまま寝てしまった。しかしまだ旅は終わらない。明日は夜まで海の上で過ごすし、クーラーバッグには買い込んだカツゲンも入っている。

10年以上前に飛行機で北海道に来た修学旅行生の自分は、フェリーとバイクで北海道に来た今の自分を見て、道中の主な話し相手が野生の鹿だった自分を見て、一体何を思うのか。フェリーは羨んでくれるといいな。

 

<つづき>

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