TANNYMOTORS

一度人を食らった熊は、その味が忘れられず再び人里に降りてくるという。つまりバイクの日記です。

「コンテナのスタッキングは5段まで」この説明書に書いてあることをあなたが守るならの話だけれど。

引っ越して一カ月経ったというのにまだ本棚がない。

荷造り用の段ボールに本を入れたままにするのも癪なので10個ほどのバックルコンテナに詰め込んで壁際に積み上げてみたが、なんだか部屋が倉庫か工場のようになってしまった。

しかも本以外にも工具やバイク用品も箱に詰め込んでしまったので、どれに何を入れてたのかさっぱり分からなくなってしまった。しょうがないのでテプラや養生テープで「ドリル」だの「塗料」だの「同人誌」だの書いたラベルを作って貼ってみたが、そのせいでさらに部屋の倉庫感が増し、「5S」活動を頑張っている現場みたいになった。

そもそもこれは本棚を買えば解決する話なのだが、いい感じの本棚というのはそう簡単に見つかるものではない。

かろうじて組み立て式の棚1つを仮の本棚として稼働させているが、その棚もキッチンに置いているので「映像研には手を出すな!」の手前にイナバのタイカレー缶が積み上げられているし、「三体」の横には箱入りの養命酒が立てられている。

棚の最上段には文庫本が並んでいるので「キッチンでパスタを茹でながらフィッツジェラルドを読む」という村上春樹的ムーブはできるかもしれないけれど、あいにく――もしくは幸いと言うべきかもしれないが――僕の家にはパスタの茹で上がりを妨げるような電話は置かれてないし、シャワーを浴びながらわざわざ大声で話しかけてくるような人もいないから、今のままでは説得力に欠けた演技をして審査員を――彼らは一体何を審査するというのだ?―—落胆させてしまうことだろう。

蔵書はともかく増えた工具類や塗料の類は箱ごとベランダに保管すれば良いので多少は部屋も片付いた。

9月以降は気圧が下がり脳は圧迫され生活もハードモードになっていくので今のうちに身の回りは片づけておくことにする。そして週に一度はサウナをかまして体をリセットするのだ。

村上春樹的にはサウナってどうなんですかね。湯船に入る描写すらあんまりなかったような気がする。